今週のお題「お弁当」
高校時代の3年間、母は毎日お弁当を作ってくれました。料理が苦手でレパートリーが少ない母は、基本的に鶏の唐揚げ、厚焼き玉子（しょっぱい味）、ウインナー、ほうれん草の胡麻和えでした。特に私が鶏の唐揚げが大好物なので、前日から鶏もも肉に下味を付けて翌朝揚げてくれていたのです。母は冷凍食品が嫌いで、既成の唐揚げは一切使いませんでした。
ある日、昼休みにお弁当を開けたらおかずが鶏の唐揚げだけの時があり、帰宅してから母に言うと「時間なかったから唐揚げだけ作った」という返事。いや、唐揚げ揚げる方が時間かかるから！でも作ってもらっている以上文句は言えません。冒頭にも書きましたが、母は料理が苦手でした。鶏の唐揚げとカレーだけは美味しかったです。特に鶏の唐揚げは日本一美味しかったと思っています。
私が高校を卒業した次の日、病院嫌いの母が「病院に行きたい」と言うので一緒に行きました。そして末期ガンにより余命3ヶ月と宣告され、本当に6月に亡くなりました。全然親孝行が出来ず、それは今でも悔いが残っています。それからは18歳で一人暮らしということもあり、揚げ物は作ることなく惣菜屋で買うのですが、母の作ったものと並ぶ美味しさの鶏の唐揚げには出会いませんでした。
長らく唐揚げの旅をしていましたが「無ければ自分で作ればいいじゃん」と思い試行錯誤の末、母のには及ばないものの近い味の鶏の唐揚げが完成しました。
衣は片栗粉Onlyでおろしにんにくとおろしショウガと醤油で下味を付けて、しっかりとした味の唐揚げです。新しい職場は弁当持参予定なので、母を思い出しながらお弁当を作ろうと思います。
